主人公と出会う
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馬鹿は神を理解できない。
神は何も理解できない。
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とりあえず状況確認をやっておこう。なぜか話が次々と進んでいったような気がするから――。
まず、僕たちは試験会場に入ったんだった。それで周りの人に呆れた視線を浴びさせられて、零崎と関係なく殺したくなったんだった。
それで第一次試験が始まって、それで――五分後に僕は忘れていたことを思い出したんだった。そう、肝心なことを忘れてたんだよな。主人公達に会うことを忘れていたんだった。
それでそのことをサインに言ったらものすごく驚かれて――それでサインが走れなくなったら僕が背負うことを約束したんだ。そしたらサインが変になった……。
――あのことは忘れよう。うん、忘れよう。
それで主人公達を探そうとしたら、なんとそれが僕とサインの間を走ってるんだからびっくりしたね。
よし、状況確認終わり。
「終わりじゃねえ!」
「どうしたの?キ――、キミ」
危ない危ない。もう少しで名前を言うところだった。僕たちは初めて彼らと出会ったんだから名前を知るはずがないんだから――。
「どうしたでござるか?キルア」
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉい!!」
くぉおおおおおおおおおら!サイン!!せっかくの僕の『危ない危ない(以下略)』は無視かこの野郎!
そして予想通りにキルアは突然(といっても初めからそうだったが)警戒感を出す。
「なんでお前がオレの名前を知ってるんだ?」
う、やばい。どうしよう!ここは親の力を借りるしかない!!
「えーと……僕はシルバさんと知り合いだから!だからキミのことも知ってるんだよ」
これは本当。一年前ほどに僕はシルバさんと出会った。
ただし最悪な出会い方だったけど。
「ふーん……まあいいけどな」
まだキルアは疑わしげだったがとりあえず警戒感を取り去ってくれた。感謝!
「……それでテメエは誰なんだ?」
「あ、いたんだ」
キルアとゴンの後方を走っていたレオリオが僕に話し掛けてきた。
そういえばまだゴンとキルアとレオリオは別れてないんだっけ……。うん。レオリオがいることを忘れてた!(ひでえ)
「それは失礼。僕の名前は――」
「拙者の名前はサインでござる」
「…………。僕の名前は――」
「主君の名前はでござる」
「……………………」
僕は無言でサインを締め上げた。「何をするでござるか!」とか言ってるけど無視だ。
「――それで君たちの名前は?」
僕はゴンたちに尋ねた。もう知ってるけど、今知ったことにしておきたいからね。
「オレの名前はゴン!ゴン・フリークス!!」
「オレはレオリオだ」
ゴンとレオリオはそれぞれの自己紹介をした。
「へー。ゴンにリオレオか」
「レオリオ!」
「そうかそうか。リオリオか」
「だからレオリオって言ってんだろうが!」
「ごめんごめん、レオレオ」
「だからレオリオだって言ってんだろうが!ふざけてんのか!」
「あ……素で間違えた」
まあドンマイドンマイ。なんかレオリオは怒ってるけど無視無視。
「それでどうしては僕たちのことを探してたの?」
ゴンが純粋そうな瞳で、それはもう純粋そうに言った。
なんか弟にしたいような子だなあ……。この子は本当に犬を連想させるよ。それも子犬!保護欲を感じてしまう。
「それはキミたちが子供だと聞いたからさ!子供なキミたちがこんな危ない試験をやるのは危険なんじゃないかと思ったからだよ」
嘘だけど。
「あれ?それは違――んーんー」
余計なことを言いそうなサインの口を閉めた。
「俺たち子供じゃないぜ。それにお前だって子供だろ」
むっとした風にキルアが言った。あれ?そうだっけ?
「そうかなあ」
「は何歳?」
「えーと、僕は17歳だけど?」
「はぁ!?」
僕の言葉にキルアは心から驚いたと言う顔を作る。ゴンとレオリオを見ると、彼らも同意見のようだ。失敬な。
「あのねえ……何歳だと思ってたの?」
「14、5歳ぐらい」
なるほど。そういうことか。そういえばこの世界に来てから年をとってないから……。
「ある意味では正しいね」
「は?」
「いや何でもないよ」
そして僕は三日前に考えた言葉でゴンたちにアタックした。
「うん。キミたちを見たら鍛えられてるのがよく分かる。でもこれも何かの縁だ。一緒に行動しないか?」
「うん!」
よーっしゃあああああああああ!!これで主人公組みと一緒に行動できる!
「主君!」
「ん?どうしたの?」
サインの焦ったような声が聞こえて僕は振り返った。ち、もう少し喜びの余韻を感じさせて欲しかったのに。
しかし、次の光景に僕は唖然とし、呆れかえ、驚きに驚いた。
「主君!もう走れませぬ!」
「早すぎじゃボケェェェェェェ!!」
そこには汗だくだくにしながら息も荒く走っているサインの姿があった。
「まだ十分しか走ってねえじゃねえか!!」
「主君!拙者の中では一日中走ってるでござる!」
「テメエの中なんて知るか!!」
「主君ー負ぶって下されー」
「お前っていつも僕の邪魔になってないか?」
しかし約束した手前、約束は守らないといけない。どう見てもこの疲れてる様子は演技じゃなさそうだし。
「放っておけよ。遊びじゃねーんだから」
「ん? 僕にとったら遊びだよ?」
「な……」
よっこいしょという掛け声で僕はサインを負ぶった。
「……とりあえず言うよ。重いね」
「……女性に言わないで欲しいでござる」
サインはごろごろ言いながら僕の背に倒れかかっている。
お前は猫か。
もう一度言おう。
お前は猫か。
「――っと、それじゃあいろいろと話をしながら行こうか」
「うん!」
ゴンが純粋そうに言った。
かわいいなあ。絶対にだめなことだけど弟にしたいや。
頭をなでてみた。
「?」
おお、本当に頭にクエスチョンマークを浮かべてるように見える。
しばらくの間、僕たちはいろいろと話しながら走った。
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